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    花千骨 第50話 (翻訳 2/2) ※幻(となる予定)の最終話

     25,2015 17:35
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    邦題 : 花千骨
    原題 : 花千骨
    英題 : The Journey of Flower 2015

    監督 : 林玉芬(リン・ユーフェン)/ 高林豹(コー・ラムパウ)
    主演 : 霍建華(ウォレス・フォ)/ 趙麗穎(チャオ・リーイン)


    【ご注意】

    ※英文字幕を、中文の助けも借りて日本語字幕にしたものです。
     中国語→英語の段階で意訳されているものが多々ある上、
     英語字幕自体、誤字脱字誤訳が多いため、元の内容と異なる
     可能性があります。意訳が著しい場合、中文を元にしています。

    ※セリフのほとんどに対応していますが、あくまで素人が
     趣味で訳したものなので、「ざっくり内容が知りたい」方向け
     です。正確さを求める方は、公式放送をお待ちください。

    ※素人翻訳ではありますが、転載・再利用などはご遠慮ください。

    楽しんでくださる方がいらっしゃれば、幸甚です。


    ++++++++++++++++++++





    ふたりは、千骨がかつて暮らしていた家に降り立った。


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    子画「なぜこの場所を選んだ?」

    千骨「すべてが始まった場所で、すべてを終わらせるの」

      「かつてあなたが私の師であったことに敬意を表して、
       最初の一撃の権利を差し上げるわ」

    そう言って千骨は一振りの剣を取りだすと、子画に放って寄こした。
    子画は受け取った剣を見て瞠目する。

    子画「憫生剣?」


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    千骨「私を殺しなさい」


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      「そうすればこののち、洪荒の力はこの世に存在しなくなるわ」

    子画「私にそれを強要するな」

    千骨「強要などしていないわ」

      「誅仙柱に縛られていた時も」
      「長留の広場でも」
      「あなたはとてもよくやってみせたじゃないの」

      「過去に一度出来たことなら、今も出来るはずよ」

      「長留の上仙さま」

      「仙界と、生きとし生けるもの、天下万民のために」
      「あなたに出来ないことなどあるの?」

      「私を殺すがいいわ!」
      「そうすれば、すべてを初めに戻すことができるのよ」

    一歩、また一歩と迫り、攻撃を促す千骨を避けるように、
    子画が中空へと舞い上がった。

    千骨もその後を追う。


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    ふたりは一定の距離を保って向きあったまま、
    再び草原の上へと戻ってきた。


    子画「小骨」


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      「私はそなたを殺しはせぬ」

    千骨「白子画」

      「あなたがもっとも気にかけるのは、彼らの安否ではないの?」
      「ならば、それを壊して見せてあげるわ!」

    子画「小骨!」

    千骨は、ひらりと身を翻して子画の前を離れると、
    ふたりを見上げる長留の人々の元へ飛来した。

    上空から一撃を放つと、先頭にいた摩厳が倒れる。

    追いついた子画が千骨の前に回り込んで
    人々をその背後に庇った。

    千骨「白子画」

      「私が死ぬ時は、あなたもこの世界も
       私の道連れとなって死ぬのよ」

      「あなたが大切に思う人々が、ひとりひとり、私の手にかかって
       死んで行くところを、あなたに見せてあげる!」

    そう言って千骨が両腕を薙ぎ払うと、草原に集った人々がみな一斉に地面に倒れ伏した。


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    子画がそれ以上の攻撃を阻むように千骨の前で両手を広げる。

    子画「小骨!」
      「誰かを殺したいなら、私を殺せ」

      「正道へ立ち戻る最後の機会を手放してはならぬ」
      「こちら側へ戻ってくるのだ」

    子画の説得を耳にした千骨が、
    可笑しくてたまらぬという態で哄笑した。


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    千骨「私にはもう師はいない」
      「友と呼べる人もいない」


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      「愛する人もいない」
      「子供すら失った」

      「最初は、この手に世界のすべてがあると思っていたわ」
      「でも後になって、それが全部、偽物だったと気付いたの」

      「私を愛してくれた人は、私のために死に」


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      「私が愛した人は、ひたすら私の死を望んでいる!」

    千骨の言葉に、子画が首を横に振る。


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    千骨「私が信じた人は、私を裏切り」
      「私が頼りにした人は、私を捨て去った」

      「私は何も望んでなどいなかった」
      「何も求めたりもしなかった」

      「私はただ、地に足のついた日々を送りたかっただけ」

      「でも……でも、天がそれを許さなかった」
      「そしてあなたが私にこうさせたのよ!」

      「ここまで来て、まだ私に戻れる道があるとでも思っているの?!」

    魂を絞り出すようにそう叫んだ千骨に、子画が必死で首を振って否定する。

    子画「小骨。やめるんだ」

    だが必死の制止もむなしく、千骨が両手を広げ、構えたのを見て、
    子画は唇を引き結び、手にした憫生剣を千骨に向かって突き出した。

    しかしその時千骨は──一片の力も発することなく、
    ただすべてを受け入れるように、両腕を広げたまま瞑目した。


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    子画が手にした憫生剣が、千骨の胸をまっすぐに刺し貫く。


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    その瞬間、千骨は瞠目し、それからゆっくりと視線をあげて子画を見た。

    子画は、何の抵抗もなく剣を受け入れた千骨を見て
    驚愕に顔を強張らせる。


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    目を向けた千骨のおもてには──もはや、先ほどまでの
    怒りも憎しみも浮かんではいなかった。

    彼女の瞳を満たしているのは、ただ一色、
    底が見えぬほど深い、悲しみの色。

    そうして彼女は、ゆっくりと後ろへ倒れていく。

    すぐに剣を引き抜いた子画が、崩れ落ちる千骨の身体を空中で抱きとめた。

    両の腕に千骨を抱いたまま、ゆっくりと地上へ降りていく。


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    子画の腕の中で、千骨が静かに口を開いた。

    千骨「白子画」
      「あなたはすべての命あるものに情けを施した」

      「でもあなたは、私のために心を痛めてくれることは
       なかったわ……」

    そこへ、さきほど千骨の手によってなぎ倒されたはずの人々が駆けつける。


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    摩厳「子画!」

    弟子たち「尊上!」


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    地面に転がっていたはずの躯が、まるで雪が解けるように
    消えていき、代わりに遠くから、何ごともなかったかのように
    無事な姿で駆けてくる人々を目にして、子画がその双眸を見開く。


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    弟子たち「尊上!」
        「尊上!」


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    驚愕をおもてに貼り付けたまま、子画が千骨に視線を戻すと、
    千骨はその瞳に涙を浮かべ、悲しそうにつぶやいた。

    千骨「結局……あなたはずっと、私のことを信じてなどいなかった」


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      「あなたは、自分自身の目で見たものしか信じないのよ」

    子画「そなた……故意に謀ったのだな」
      「私自身の手でそなたを殺させるために」

    顔を歪める子画を見て、千骨は微かな笑みを浮かべて言った。

    千骨「言ったでしょう、あなたはきっと後悔すると」

    子画が首を横に振る。

    子画「……いいだろう。それならば」
      「私もそなたと共に逝こう」

    そう言って子画は、片手に気を集めたかと思うと、
    次の瞬間、それを自分自身の内部に向けて放った。


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    弟子たち「尊上!」

    摩厳「子画!」

    見守っていた摩厳、笙蕭默らがくずおれるように膝をつく。
    自ら放った気によって、子画が倒れ、吐血した。


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    それをただ茫然と見守る摩厳、笙蕭默、そして長留の弟子たち。

    千骨「白子画」
      「まだ私を愛していると認めるつもりはないの?」

    子画は身を起こそうとするが叶わず、地面に肘をついた。

    そうして千骨の問いにはついに答えぬまま、
    目の前で死にゆこうとしている子画を見て、
    千骨の瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちる。

    千骨「こうなった以上」

      「あなたに、私と一緒に死ぬ資格があるとでも思っているの?!」

    そう叫び、子画の腕を取った千骨は、
    最後の力を振り絞って、子画の傷を癒していく。


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    自分の命を削って子画を助けた千骨の姿を、
    長留の人々は、身動き一つできずに見守っている。

    子画が驚いて身を起こすと、弾む息の下で千骨は
    ゆっくりと子画に向けて手を伸ばした。


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    千骨「白子画……」

      「神の名を以って、あなたを呪うわ」


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      「今生はもちろん、未来永劫においてあなたは」

      「不老不死の身となり、傷を負うことも、
       その身が滅ぶこともないと」

    千骨が口にした言葉に、摩厳を始め長留の人々は、
    ただ茫然と息を飲むことしかできない。

    千骨「白子画」
      「この人生に、後悔はないけれど」

    子画の頬を涙が伝い落ちる。


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    千骨「でも……」
      「でももしもう一度初めからやり直せるのなら」

      「その時はきっと、あなたを愛したりしないわ」


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    そうつぶやいて、涙をこぼした千骨は、
    やがてむせるように血を吐き出すと、
    ゆっくりとのけぞるように後ろへ倒れた。


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    空を見上げた千骨の瞳に最後に映ったものは、
    連れだって巣へと飛んでいく、鳥たちの姿。


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    鳥ですら、帰る場所がある。

    けれど……。

    千骨は、ゆっくりと両の瞼を閉じた。

    一部始終を目の当たりにした摩厳の瞳に、涙が浮かぶ。

    子画が、よろめきながら身を起こし、千骨に近づいた。

    動かなくなった千骨を見て、肩を震わせ、押し殺した嗚咽を漏らす。


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    涙をこぼし、千骨を抱き上げた。

    その頬に手を添え、額を押し当てる。


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    子画「なぜそなたはそうも残酷なのだ」

      「私にそなたを殺させた後」

      「なにゆえ私一人を残して逝ってしまうのだ」

    千骨の頭を抱き寄せ、首を振る。

    子画(そなたが望むことは、どんなことであれその通りにしよう)

      (正しかろうが過ちだろうがかまいはせぬ)

      (そなたにすべてを与えよう)

      (愛も)

      (私自身も、そなたのものだ)

      (長留の存亡など、私に何の関係があろう)

      (天下万民の生死など、私に何の関係がある)

      (どこへでも、そなたを連れて行こう)

      (我らはどこへでも行くことが出来る)

      (すべてそなたが望むようにしよう)

      (ただひとつ)

      (私を置いて逝ってはならぬ)

      (私を置いて逝くことだけはならぬ……)


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    竹染が、言葉もなくただ千骨の躯を抱きしめる子画と、
    その様子を見て、初めて声もなく涙をこぼした摩厳とを見やった。

    ゆっくりと子画に歩み寄り、口を開く。

    竹染「白子画」
      「あなたがこの結末を受け入れがたいのは分かっている」

      「だが、これがすべて己自身の選択の結果であると
       知っているはずだ」


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      「結局のところ、これがすべて偽りであると、
       あなたは知っていたはず」

      「あなたはただ、賭けに出ることをよしとしなかっただけだ」

      「彼女を信じようとはせず」

      「敢えて世界を危険に晒すような冒険をすることはできなかった」

      「だから、彼女と共に死ぬ道を選んだのだ」

    子画の真意を知った摩厳が、衝撃に視線を彷徨わせる。

    子画は何も答えず、ただ腕に抱き寄せた千骨をなでている。

    竹染は、子画のそばにかがみこむと続けた。

    竹染「女というのは、実におかしな生き物だ」

      「彼女は、あなたが彼女を愛していると証明するため、
       すべてを賭けることを選んだ」

      「もっとも哀れむべきは千骨だ」
      「彼女は、こうなることをよくよく理解していた」


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      「それでもなお、もう一度、あなたに彼女を傷つけさせた」

      「ただ、あなたの心の中で、自分がいったいどれほど
       重要な存在であるのかを知るためだけに……」

      「結局のところ、あなたが彼女を哀れみ、
       慈悲を施したことはあったのか?」

      「いまあなたの心は痛み、罪の意識に苛まれているだろう」

      「この長い年月、あなたはずっと、自分が正しいと
       思うことに固執し続けてきた」

      「あなたは決して、彼女にとって何が最善であるかを
       考えることはなかった」

      「そうして今となってあなたは、
       永遠に見ていなくてはならなくなったのだ」

      「最も愛するものの命と引き換えに守った、世界とやらをな」

    洪荒の力をその身に宿しながら、愛する者のため──
    そして愛する者が守りたいと欲したもののため、
    自分の命を犠牲にしてその力を葬り去った千骨に、

    そしてその死の間際に、愛する者を道連れにすることを望まず、
    一人で死ぬことを選んだ千骨に、

    云端、舞青萝……彼女を知る者たちが、みな涙を流し、嗚咽を漏らす。


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    摩厳すらも例外ではなかった。


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    後悔か、あるいは憐憫ゆえにか、顔を歪めた彼の瞳から、
    大粒の涙がこぼれおちる。


    子画(小骨……)

      (悔やんでも悔やみきれぬ)

      (私が誤っていたのだ……)


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    千骨(未来がどうなるかは、誰か一人の力で決められるものではない)


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      (そしてそれは、人々が自分で選んだ結果でもある)


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      (大切に思う人たちを守れるよう)

      (蜀山派は再建され)


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      (七殺派もまた、邪な行いを改め、正道に帰した)

      (すべては再び、正しい状態に戻った)


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      (私の選択は、正しかったのだと思う)








    千骨がかつて暮らしていた家で、
    鶏に餌をあげている少女の姿。

    眠そうに目をこすっているのは──千骨だった。


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    睡魔に耐えられなかったのか、
    そのまま隣の木にもたれて、眠りに落ちてしまう。

    東屋で書を読んでいた子画は、ふと目を上げると、
    千骨が眠ってしまっているのに気付いた。

    書を置き、千骨のもとへと歩み寄る。

    千骨の肩に落ちた木の葉を静かに払い落とし、
    その寝顔に視線を落として、穏やかな笑みを浮かべる。


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    そこに確かに存在していることを確かめるように
    そっとその頬を撫でていた子画は、
    ふと人の気配に気づいて視線を上げた。


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    門から入ってきたのは、笙蕭默だった。


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    子画は、抱き上げて運んだ千骨を、そっと寝台に下ろす。

    持ってきた薬を机に置いた笙蕭默は、その様子を見て
    静かに息を吐いた。





    笙蕭默「彼女の回復はどうだ?」

    東屋で茶を飲みながら、笙蕭默が聞いた。

    子画「既にだいぶよくなった」
      「起きていられる時間も少しずつ長くなってきている」


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    笙蕭默「ならばよかった」

       「なあ、師兄」
       「私と一緒に長留に戻らないか」

       「ひとつは、そのほうが小骨の傷を癒すためにも
        都合がよかろうし」

       「ふたつめとして、長留は畢竟、あなたの家なのだから」

    子画「私はかつて、長留のために、彼女を殺そうとしたのだ」

    笙蕭默「人はみな、自分が背負うべき荷というものがある」
       「しかし、そのために血を流し続ける必要はない」

    笙蕭默の言葉に、子画が黙って目を伏せる。
    その様子を見た笙蕭默が笑みをもらした。

    笙蕭默「しかし、師兄が以前と同じ様子に戻ったのを見て
        本当に安心したよ」

       「師兄は知らないだろうが、あの時の誰彼かまわぬ
        狂気じみた様子と言ったら、本当に恐ろしかった」

    冗談めかしてそう言った笙蕭默の言葉に、子画は短く嘆息した。

    子画「今私が恐れるのは、自分自身がいつ切れても
       おかしくない、ただの張りつめた弦の一本に
       過ぎぬのではないかということだ」

      「今はただ、日々、小骨にどんな苦痛も味わわせる
       ことなく、彼女を支えることができればそれでよい」

      「もし彼女の身に何かあれば……」

    そう言って表情を曇らせた子画の肩を、笙蕭默が叩いた。


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    笙蕭默「大丈夫だ。すべては過去のことだ」

    子画は頷き、視線を上げた。

    子画「……長留はいま、どんな様子だ?」

      「師兄が不在の今、
       そなた一人で忙殺されているのではないか」

    笙蕭默「私のことは心配いらない」
       「それに、師兄のことも、あなたが気に病む必要はない」

       「師兄は、花千骨を救うために自らの命を犠牲にしたが」
       「これはあの場にいた誰もが予想し得なかったことだ」

       「もちろん、彼がそうしたのは、ただ単に掌門師兄
        ひとりのためだけというわけでもない」

       「彼は恐らく、自分がしたことが誤りだったと気付いていたんだ」

       「そしてずっとどこかでそれを埋め合わせる機会を望んでいた」

    子画が小さくうなずく。

    子画「竹染はどうしている?」

    笙蕭默「戒律閣が三十年の瞑想の罰を与え、
        彼はそれを受け入れた」

       「彼はいま、長留の後背の山に在る石塔で
        静かに日々を過ごしている」

       「……それで、師兄は?」
       「これから、どうするつもりなんだ?」

    子画「私は、彼女の傷が癒えるのを待ってから、
       彼女を連れて放浪の旅に出るつもりだ」

      「かつて私は、長留のために生きた」
      「今はただ、彼女のためにだけ生きることを望んでいる」

    笙蕭默「あなたと彼女とは、まだお互いに
        師と弟子でいるつもりなのか?」

       「千骨は何も覚えてはいないのだ。
        あなたがたを妨げるものはもはや何も……」

    子画「……わからぬ」

      「今は、この状態がもっとも私たちに合っているのだ」


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      「ただ彼女が私を愛してくれている限り、
       彼女が私に望む役割が何であれ、
       私は喜んでその役割を果たすだろう」

    笙蕭默「師兄。……変わったな」

    笙蕭默の言葉に、子画が自嘲するような笑みを浮かべた。

    子画「今となってはもはや、変わったとか変わらぬとかは
       既に問題ではない」

      「かつて私の心は、長留に、世界に、
       そして天下万民の命に繋がれていた」

      「だが私は、彼女のためには何もしてやれなかった」

      「私は長留を、世界を、そしてすべての命を裏切ることが
       出来なかった」

      「しかし最終的に私はいつも、彼女と、そして
       私自身とを裏切っていたのだ」


    笙蕭默「千骨がいつか、記憶を取り戻すかもしれぬと
        考えたことはあるか……?」


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       「その時あなたは、どうするつもりなんだ?」

    笙蕭默の懸念に、子画が小さく笑った。

    子画「私はただ、一日一日を過ごしていくことしか出来ぬ」

      「私の今の望みは、日々、小骨がかつてのように
       暮らせることだけだ」

      「そうして私に食事を作ってくれる」
      「それだけで私の心は十分満たされているのだ」

    子画が穏やかに微笑むのを見て、
    笙蕭默もまた笑みを浮かべた。

    子画は息を吐き、ゆっくりと茶椀を口に運んだ。


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    いまは氷の棺に眠る殺阡陌が、問いかける。

    殺阡陌(小さいの……)

       (そなたはどこにいるのだ?)

       (また白子画のところへ行ったのであろう、違うか?)


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       (窮屈な思いをして、我慢することなどない)

       (姉さんを待つがよい)

       (姉さんは必ずやそなたのそばに戻ってくるゆえ)







    河に浮かんだ筏に乗っている子画と千骨。
    千骨は、子画の肩に頭を預け、その背にもたれて眠っている。

    ふと、眠っていた千骨が、目を覚ました。
    目の前に浮かぶ美しい月を見上げ、感嘆の声を上げる。


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    千骨「師父、ここはなんて綺麗な場所でしょう」
      「ここはどこなんですか?」

    子画「気に入ったか?」

    千骨「はい!」
      「ここには名前があるんですか?」

    子画「そなたが名づけるとよい」

    千骨は、少し考えてから、にっこり笑って言った。


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    千骨「じゃあ……『画骨峰』と呼ぶのはどうですか?」

    千骨の提案に、子画は肩越しに振り返ると、穏やかに微笑んだ。

    子画「よかろう」

    そして月を眺める千骨の首に、子画は、修復した宮鈴をかけてやった。

    かけてもらった鈴を嬉しそうに眺めていた千骨だったが、
    ふと鈴の表面のひびに気が付き、不思議そうに尋ねた。

    千骨「師父、どうしてこの鈴には、こんなにたくさん
       ひびが入っているんですか?」

    子画「不注意な者が、落として壊したのだ」

    子画の説明に、きょとんとする千骨。

    子画「また今度ゆっくり話してやろう」

    子画が穏やかな口調でそういうと、千骨はにっこり笑って頷いた。


    journey_of_flower_50a_02_057.jpg


    鈴を手に、子画の胸にもたれて月を見上げる千骨の顔には
    幸福に満ちた柔らかな笑みだけが浮かんでいる。

    やがて子画は、千骨の小さな手を取ると、共に空へと舞い上がった。


    journey_of_flower_50a_02_058.jpg


    ふたりはお互いを見つめて笑顔を浮かべると、
    どこまでもどこまでも遠くへと、飛行を続けた。


    journey_of_flower_50a_02_059.jpg
























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    Comment - 12

    2015.09.25
    Fri
    19:42

    アル中@えつこ 

    URL

    ありがとうございます

    翻訳ありがとうございます<(_ _*)>  もう~すっきりさせていただきました。
    今日から枕を高くして寝られます(*´∇`*) 言葉も分からずようつべを最終話まで見られたのは、最後があんまりなでしたが、ヒロインもかわいいく、登場人物のキャラもよかったからです。最終回がはぁ~な感じだったので、パラレルワールドを夢想したりして楽しんでいました。今回このように詳細なあらすじをUPしていただいて、本当にありがとうございます(*^^)/。・:*:・°★,。・:*:・°☆アリガトー

    編集 | 返信 | 
    2015.09.25
    Fri
    22:29

    カオリン 

    URL

    すっきりしました~。

    いつも楽しませていただきまして、ありがとうございます。

    中国語がわからず、ニュアンスだけで見た動画。
    最後の方は画像を追うだけでは、あまりにも画面が飛び過ぎというか、つながってないという感じで、全然意味がわからず。。。

    最初が楽しかっただけに、ちょっとやっつけ仕事って感じが。。。
    ちょっと楽しめない、残念なクライマックスでした。

    やっとすっきりしました。
    ありがとうございました。

    編集 | 返信 | 
    2015.09.26
    Sat
    16:45

    ゆら 

    URL

    很謝謝

    v-22響さま お疲れ様です!
    最終回の翻訳の威力、半端ないです。
    響さんの紡がれる言葉の美しさも!v-354
    手負いの獣みたいな最終回を翻訳するのは、かなりエネルギーが
    要ったと思います、心から感謝いたします!
    (理性もふっとぶ!栄養ドリンク「洪荒」どうぞ!!)

    ダンブルドア(まだ言うか)、初恋を拗らせすぎ……
    (だから早く認めて良いのですよと言ったのに)
    腕の傷、摩厳がお試しがけした時(40話)のじゃないですよね。
    あれは手の甲に見えたけど。

    >摩厳「私は本当に道を誤ったのだろうか……?」
    「とっくに大迷路に嵌ってるわよ、あなた脛に随分な傷をお持ち
    だったのね」と儒尊になってマツコ風に言ってやりたい。

    笙蕭默の言葉の数々、素晴らしいです。もうキャライケメンから
    イケメンに昇格しそうな勢い。(2015の七殺TOP3中の人がネットの
    写真と違いすぎてイケメン基準がぐらついております)
    お兄さん2人をずっと側で見てきて、末っ子は立派に寛仁大度に育ち
    ました。儒尊がいれば長留は大丈夫!

    花千骨、生死劫、あと霓漫天のこと等 まだまだ考え続けてます。
    最終回だけど、花千骨と過ごす時間を持てること響さんに感謝です!

    編集 | 返信 | 
    2015.09.27
    Sun
    01:11

    響 

    URL

    To アル中@えつこ さま

    アル中@えつこさま、こんにちは!
    コメント、ありがとうございます♪(。・ω・)

    そして、すっきりしていただけて、よかったです(笑)。

    わたしも中国語はさっぱりなので、最後のほうの数話、
    英語字幕が追いついていなくて、中文だけで追いかけて
    いた時は、よく意味がわかりませんでしたσ(^_^;)

    最終回、このままだとばっさりカットされすぎていて、
    本当に残念な感じですけど、ノーカット版が出ることを
    信じて待ちたいと思っています。

    これからも本編の翻訳は続きますので、よかったらまた
    遊びに来てくださいね(。・ω・)w

    編集 | 返信 | 
    2015.09.27
    Sun
    01:19

    響 

    URL

    To カオリン さま

    カオリンさま、こんにちは♪
    遊びに来て下さって、ありがとうございます!
    そして、すっきりして頂けて嬉しいです(笑)。

    >中国語がわからず、ニュアンスだけで見た動画。

    同じくです(笑)。最後のほうは、中文だけで見ていた
    ので、ちんぷんかんぷん……。しかし最終話だけは、
    英語字幕がついてもやっぱり意味不明なところが多々
    ありますけれどもσ(^_^;)

    ほんと、最後の最後で残念な感じはありましたけど、
    再編集された完全版さえ出てくれれば、きっと、
    途中経過も含め、納得のラストになるはず!(笑)

    そうしたら、そちらも翻訳&レビューを書きますので、
    お時間があったら、ぜひまたいらしてください(。・ω・)☆

    編集 | 返信 | 
    2015.09.27
    Sun
    01:27

    響 

    URL

    To ゆら さま

    ゆらさま、こんにちは☆

    最終回はなんだか、書いていて、魂を削られる感じが
    しました(おおげさ・笑)。手負いの獣、まさにそんな
    感じですねー。しかし、せっかく撮ったドラマを、
    あんな風に編集しなければならなかったスタッフも、
    辛かっただろうなーと思いながら訳していました。。

    洪荒ドリンク、何気に恐ろしいですね(笑)。飲むと、
    絶情池の水の傷を削いだ時の子画みたいになるので
    しょうか……Σ(。・ω・)

    >ダンブルドア(まだ言うか)、初恋を拗らせすぎ……

    まったくですねー(。-ω-) っていうか、お試しがけ!!
    そういえばそんなことがありましたね? ものすごく
    すっぽり抜けてましたが。あの時のかなー? なぜか、
    きっと竹染がかけたに違いないと思い込んでいました。
    なぜだろう……。あ。たぶん、突然痛がったからかな?
    『傷が痛む=まだ、かけられてからあまり時間が経って
    いない』感じがしたのでした。でも、よく考えたら、今
    竹染は水を手に入れられませんよね。うーん。やっぱり
    お試しがけの時の傷なんでしょうかね(悩)。

    >もうキャライケメンから イケメンに昇格しそうな勢い。

    激しく同意します(笑)。彼がいろいろ代弁してくれた
    おかげで、いらいらがだいぶ解消されました(笑)。

    七殺TOP3のうち、特に曠野天は、メイク落とすと
    誰……?って感じですよね。彼は曠野天メイクの時の
    ほうが、イケメンだった気が(。・ω・)アイヤー

    最終回で気が抜けた部分はありますけど、でもいつか、
    完全なラストを見られる希望があれば、まだまだロスに
    ならずに済みますね! それは実はラッキーなことかも
    しれません(笑)。完全版を見られる日まで、ご一緒に
    のんびり待ちましょ~☆

    編集 | 返信 | 
    2015.10.14
    Wed
    11:03

    Kou 

    URL

    ガン泣

    自分もこのエンディングでガン泣きました!
    バカ師父って叫びまくりでした。
    お疲れ様でした!

    今は友達に源作版のネタバレを聞くつもりです。

    編集 | 返信 | 
    2015.10.15
    Thu
    00:29

    響 

    URL

    To Kou さま

    Kouさま、こんにちは!
    このような僻地のブログへようこそ(。・ω・)ノ

    エンディングねー、意味が繋がらないながらも
    わたしも泣きましたー(。TωT)

    バカ師父(笑)、まったくですねー(。-ω-)
    でも好きですけどね!!(笑)

    原作、わたしも読みたくて手元に届きはしたもの
    の、中国語が分からないので読めてません(笑)

    そのうち、英語サイトと照らし合わせて読む
    つもりなので、そしたら原作の記事も書けると
    いいなーと思っていますので、よかったらまた
    遊びにきてください☆

    編集 | 返信 | 
    2015.10.15
    Thu
    18:57

    Kou 

    URL

    ありがとうございます

    いいえいいえ、こうやって語り合う相手に巡り合えて嬉しいです。

    それはもちろん。
    馬鹿で頑固な師父だからこそ魅力的と思わない?って感じです!(笑)

    自分はやっぱりお姉さんこと殺阡陌が一番ですけど。キャラとしては。

    そうそう、原作ですが、自分は先日ネットの知り合いに教えられたんですよ、大体のネタバレやドラマや原作の違いの数々。

    響さまさえよこえれば、教えてあげてもいいですよ。

    編集 | 返信 | 
    2015.10.16
    Fri
    14:14

    響 

    URL

    To Kou さま

    Kouさま、こんにちは!

    中国ドラマを見ている方は、まだ数が少なくて、
    Webじゃないと語れない状態ですよねー(。・ω・)

    そう、賢いはずなのに、不器用で頑固なところ
    がたまらない師父と、見てていろいろな意味で
    清々しいというか、楽しい姐姐、甲乙つけがたく、
    どちらも大好きです(^ω^)
    でも、そもそも役割が違いますからねー(笑)。

    原作ねー、とってもとっても気になるんですが、
    今はまだ聞くのはやめておこうかと思います(笑)。

    ドラマをきちんと自分の中で消化してから読んだ
    方が、楽しいかなーと思いまして(。・ω・)
    未放送分もありますしね!

    とっても魅惑的なお申し出なんですけどね(。・ω・)
    というわけで、お気持ちだけ頂いておきます!
    ありがとうございます☆

    編集 | 返信 | 
    2015.10.16
    Fri
    15:11

    Kou 

    URL

    No title

    そうですよ。
    自分の情報源なんて東南アジアの人ですから。

    姐姐はその直向きさにやられましたよ、自分。
    師父は、んまあ、師父だから、ですね(笑)

    いいえいいえ、とんでもありません。
    自分も未放送分が気になってしょうがないです。

    原作以外、漫画版も最近ネットで見かけました。
    これまた可愛い絵で、原作に近いですからかなりはまってました。

    編集 | 返信 | 
    2015.10.18
    Sun
    23:57

    響 

    URL

    To Kou さま

    Kou さま、こんにちは!

    東南アジアの人が情報源ですか! それは
    情報が早そうですね(笑)

    ドラマの字幕も、英語より早くベトナムや
    タイがついてたりします。
    あちらでも大人気みたいですねー(^ω^)

    未放送分、楽しみですよね。絶対放送される
    と信じて待ちます! ご一緒に、のんびり
    待ちましょう♪

    漫画!! 漫画もすごく気になりますね。
    イラストが落ちてるのはよく見るんですが。
    翻訳が終わったら必ず見てみます。
    情報ありがとうございます(。・ω・)w

    編集 | 返信 | 

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